「弛緩力合気」入門

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合気錬体会総本部    
第二代総師範 有満庄司

aiki-rentai@777.nifty.jp


 合気錬体会の弛緩力合気を知ってもらう為のページです。興味を持っていただければ嬉しいです。
 ちょっと試していただければ、単なる腕力などでは不可能であることがすぐ分かると思います。ただし、試す場合は危険の無いように配慮してください。
 単なる腕力などで力ずくにやろうとすると、双方に事故が起こることも十分考えられます(特に多人数を相手にする場合は、要注意です)。合気錬体会では責任を負いかねますので、ご注意ください。

 弛緩力とは、「伸筋の力感覚に基づく、絶対に力まない伸筋制御運動によって運用される柔らかく変幻自在な(伸張)力」です。
 呼吸力とか勁力とも言いますが、不思議なことに力んだとたんに使えなくなります。
 合気錬体会の特徴は、「上げ手鍛錬法(合気上げ)」により小手(腕)弛緩力をまず習得させるところにあります。

 そして弛緩力は、できる人から教授されない限り、自得は難しいという特徴があります。何故なら、特に人間の腕は屈筋優位の為に伸筋主体の力感覚が働きにくいからです。その感覚も感触も分からずに自得することは、天才でない限り、不可能に近いと思います。
 弛緩力の使える人に技を掛けてもらい弛緩力を体験し、感覚と感触を覚え、そしてその感覚を保ったまま稽古を繰り返して習得する。この方法が一番早く、弛緩力を獲得する方法だと思います。もし感覚と感触が分からなくなれば、また技を掛けてもらえば良いだけです。これは弛緩力の使える人に、伸筋主体の力感覚を引き出してもらうということです。認識を変えてもらうと言ってもいいでしょう。

 弛緩力による合気技には芸術「」があります。そして人を魅了する「」があります。
 私自身、ちょっと前まで、まさか自分にこんなことができるなどとは思ってもみませんでした。
 弛緩力を獲得して合気が分かれば、誰にでもできます。
 凡人の私にできるのです。天才や超人の使う特別な身体能力などではありません。

 ★本来、合気技には名称がありません。技法名は仮称です。


上げ手鍛錬法(合気上げ)@
 座って膝に両手を置き、その手を力いっぱいに押さえつけてもらいます。
 このくらい強く体重も乗せて押さえるのは鍛錬の為で、本来の上げ手は相手も座って押さえつけます。
 また気をつけなければならないのは初心者は軽く押さえて貰ったところから始め、徐々に強く押さえてもらうように
 しないと力む癖をつけてしまうかもしれないことです。
 いったん、力む癖をつけるとそれを取り除くのに数年かかるかもしれません。




上げ手鍛錬法(合気上げ)A
 両小手に弛緩力を現し、相手の力と重さを無効化し軽く上げます。
 重いものを力で上げるのではなく、軽くなるからスーッと上がる、ということです。
 また勘違いしてほしくないのは、上げるのが目的ではないということです。
 合気に必要な体と弛緩力を養成するのが、本来の目的です。
 この写真は鍛えれば、こういうこともできますよ。というだけのことです。
 





両手諸手取り合気上げ@
 両手を二人に力いっぱい掴んで押さえてもらいます。
 







両手諸手取り合気上げA
 両手に弛緩力を現し、相手の力と重さを無効化し軽く上げます。
 相手二人は吊り上げられて抵抗を奪われます。
 こうなれば、投げるも固めるも自在です。








胸諸手取り合気崩し@
 胸を二人に力いっぱい掴んで押さえてもらいます。








胸諸手取り合気崩しA
 両手に弛緩力を現し相手の胸に軽く触れて、相手の力と重さを無効化し崩します。
 相手が腰の力を抜かれて腰砕けになっています。
 こうなれば、このまま突き倒してもよし、廻し投げてもよしということです。








心技護身拳 突き@
 離れたところから突くのは危険なので、拳を相手の胸に当てたところからです。
 力いっぱいに踏ん張った相手の胸に、軽く右拳を触れます。







心技護身拳 突きA
 弛緩力を現し、軽く右手を伸ばし突きます。
 相手が腰砕けになっているのがよく分かります。









合気木刀捕り@
 相手が木刀で腰を突き攻めてきたところを合気で返しています。








合気木刀捕りA
 同じく、これは後に回り込み相手の木刀を左手で軽く押さえ、合気で動きを封じ固めたところです。
 前後左右、どちらにも動くことができずにいます。










二人合気固め
 二人で左右から攻めてきたところを合気で動きを封じ固めたところです
 お互いが相手の動きを封じて動くことが難しくなっています。









合気切り落し@
 座ったところを両手で掴み、引き立てようとします。@








合気切り落しA
 右手に弛緩力を現し、技巧を捨て素直に切り下ろします。
 肩に一切、力みの無いのがよく分かると思います。









触れ合気
 指先の接触による触れ合気です。
 相手はちょっと指先を離せば逃げられそうに見えますが、
 合気でくっついているので離すことができません。







合気三人捕り
 触れ合気による三人捕りです。
 一人は肩に引っ掛けて担ぎ、あと二人は固めて動けないようにしています。









合気多人数掛け@
 総勢8人に力いっぱい押さえてもらいます。
 両腕を左右2人づつ、計4人でしっかり押さえ、前から1人が諸手で胸を締め上げ、
 さらに後から1人が私の上腕ごと力いっぱいに羽交い絞めします。
 こうすると体の周りには6人までしか掴み押さえることができませんでしたので、
 残り2人には押さえた人の腰をさらにしっかり押さえてもらいました。




合気多人数掛けA
 全身に弛緩力を現し、全員の力と重さを無効化して瞬間的に崩し投げます。
 ただこの時は、安全に配慮してバラバラに倒れるようにコントロールしています。
 1〜2ヶ所に集中するように投げ倒すと非常に危険です。






 単なる興味本位で試すのは非常に危険です。
 十分な配慮をお願いいたします。




合気下げ手(合気下げ)@
 差し出した両手を下からガッチリと支えてもらいます。
 







合気下げ手(合気下げ)A
 両小手に弛緩力を現し、合気により相手の腰と膝の力を抜いて無力化し、
 素直に下げます。
 






合気下げ手(合気下げ)B
 下にマットが引いてあるのは、安全の為です。
 腰と膝の力を抜いて無力化してしまう為に、ゆっくりやっても加速して
 膝頭を強打してしてしまうことが、多々あるための配慮です。
 シャッターが間に合わず、何度か撮り直した為にABの写真は
 @の立ち位置から若干、右にずれてしまいました。
 退いて掛けるわけではありません、念の為。



片手取り合気下げ
 一般に良く知られる合気下げです。
 持たれた右手首を使って、相手の力を返し腰を崩して下げます。
 








 大東流をはじめとする合気武道でまず教わることは、掌を開くということです。これは合気を使う上で非常に大事なことなのですが、あまり研究の対象になっていないようです。何故、掌を開くのか?皆さんは疑問に思って考えたことはありませんか?
 どの武道でも始めに習うことに極意ありと言います。「上げ手鍛錬法(合気上げ)」もそうですが、やるのが当たり前と思考停止せず、その意味を考えるようにすると色々な上達のヒントが得られます。


朝顔の花手型
 故佐川幸義先生は、ときとして「山吹の花のように開く」といわれていたそうです。

 大事なポイントは、力まず指先まで伸張力を現すことです。
 まず人差指、中指をVサインとし十分に開いて伸ばします。そして同時に他の三指をすぼめてできるだけ伸ばします。
 この手型を正しく現すことができるかによって、小手之合気の上達度が変わってきます。




 【佐川幸義先生口伝】 1969.10.13
 なぜ手を開くのか。一つは出る力を養成するためである。

 【佐川幸義先生口伝】 1974. 8. 1
 小手への集力、これがすべてである。


出る力とは?小手への集力とは?@
 五人が縦にならんで腰を落とし、両手で先頭の人をガッチリと支えます。
 







出る力とは?小手への集力とは?A
 両小手に弛緩力を現し、集力します。
 合気(無力化)を使わず、そのまま、ただ前に出ます。

 弛緩力が使えることを「合気がある」とか「合気が備わった」と表現することもありますが、
 ここでいう合気とは、「相手の力と重さの無効化」のことです。






真の合気@
 「合気道 極意の秘密」P.75
 相手が右手で胸倉を力一杯に掴んできます。







真の合気A
 掴んできた右手に一切力を加えず、合気により相手を無力化します。
 あとは相手が必ず倒れる方向に一歩出ます。

 相手が掴んだ道着のところが@とAで変化していない点に注目。
 そこに力が加わっていないことが分かります。




 合気は弛緩力が使えないと出来ませんが、力ではありません。
 「気を合わせる」という体の技術です。
 技術である以上、すぐれた長所があれば短所もあります。
 必要以上に神秘化することはありません。


力抜きの合気@
 私はリラックスして左手を軽く前に差し出します。
 相手には、私の左掌に拳を当てて構えてもらいます。
 そして押し込んでもらいます。
 





力抜きの合気A
 普通の状態では、相手は簡単に押し込むができます。
 私は棒立ち脱力状態ですから、当然ですね。
 






力抜きの合気B
 棒立ち脱力状態そのまま、内部弛緩力の働き(内部感覚)により相手の力を抜いて
 無力化状態にします。
 すると相手はどんなに力んでも力が入らず、押し込むことができません。
 相手はAと比べるとBの時の方が明らかに力んでいます。
 一方、私は@ABともに肩を見れば分かるように脱力状態を変えていません。




力抜きの合気C
 Bのアップです。
 @Aに比べ、顔の表情と肩の盛り上がりから懸命に力を入れようとしているのが見て取れます。
 頭(脳)では力を入れようとしているのですが、肉体の力を抜かれて反応できないのです。
 肩は盛り上がっていても力は出ていません。
 
 皆さんは、朝の起床時に手足にどうしても力が入らない感じになったことはありませんか?
 同じではありませんが、感じはそれをよりひどくしたものに近いかもしれません。





空間之合気@
 通常、自分より体格も大きく力も強い相手が防具をつけて立てば、
 力一杯に打撃してもグラつかせるのが精一杯です。







空間之合気A
 しかし私が右手を、打撃する人間に(どこでも)軽く触れて弛緩力を伝達させ、
 さらに空間にまで及ぼすと相手は力を抜かれ無力化されます。
 それから同じように打撃すると軽く2〜3メートルは飛ばされてしまうのです。






 このようなパフォーマンスを目の当たりにされますとびっくりされるかもしれませんが、内部弛緩力の働き(内部感覚)
 分かってきますと誰でもできますし、実戦とは違いますから驚くようなことではありません。
 「ただこういうこともできますよ」というだけのことです。
 合気錬体会の弛緩力合気には、一見不思議には見えても「理」が有ります。真摯に努力さえすれば、誰にでもできます。



重心の安定@
 片手片足立ちで、相手が両手で力一杯に押してくるのを堪えます。








重心の安定A
 片足立ちで両手も開き、胸だけで相手が力一杯に押してくるのを堪えます。










組討の合気@
 「合気道 極意の秘密」P.76
 ガップリと組み合うと、なかなか互いに技を掛けることができません。







組討の合気A
 そこで体之合気により、相手を無力化して投げます。










組討における崩しの合気@
 ガップリと四つに組んだ上に、さらに簡単に投げられないように
 腰を落とし低く構えてもらい、そこから始めました。
 腰にしがみつかれるように頑張られると、力技では難しいものがあります。






組討における崩しの合気A
 下に崩し投げます。








組討における崩しの合気B
 左右に崩し投げます。








組討における崩しの合気C
 浮かせ崩してから投げます。








組討における崩しの合気D
 Cの続きです。










合気投げ@









合気投げA









合気投げB









合気投げC











超弛緩力(勁力の発現)@
 手刀による打ち込みを受け止めます。








超弛緩力(勁力の発現)A
 弛緩力により相手の力をはじき返します。








超弛緩力(勁力の発現)B
 本来は畳に叩きつけるのですが、頭を打つと非常に危険ですので
 遠くに跳ね返すだけです。







弛緩力詳解

合気錬体会総本部
弛緩力マスター 有満庄司

aiki-rentai@777.nifty.jp

 合気錬体会の弛緩力(勁力・呼吸力)を解説するコーナーです。
 吉丸先生の著書に弛緩力については詳しく書いてありますが、更に私(有満)の視点から初級者にも理解しやすいように解説していきたいと思います。
 このページ(弛緩力合気入門)に紹介してある合気技を試してみると相手がちょっと頑張っただけで、単なる腕力などでやろうとしても不可能であることがすぐに分かると思います。これらは弛緩力(勁力・呼吸力)という特殊な身体運動によるもので、普通の力(ちから)という概念とは異なります。
 どうしても力(ちから)と言ってしまうと我々は日常生活における物を持つとか運ぶとかに使っている力(ちから)をイメージしてしまうので説明に困ってしまうのですが、いわゆる人間動作とか生活動作とは違う身体操作なのです。

 弛緩力とは、「伸筋主体の力感覚に基づく、絶対に力まない伸筋制御運動によって運用される柔らかく変幻自在な(伸張)力」のことです。これが定義ですが、これも最後に力(ちから)としてしまう為にどうしても誤解されてしまうようです。
 吉丸先生の最初の著書「合気道の科学」において、いわゆる「伸筋理論」が初めて発表され話題を呼びました。その当時の合気武道界では画期的な理論だったのですが、ところがその理解度と言ったら「手を力一杯に張ればいい」とか「腕を伸ばして使うのか」といった程度の理解であり、残念ながらそれは今も続いているようです。
 著書「合気道の科学」には、読者の理解を得やすいように便法として色々な例えも載せてあったのですが、それらが逆に理解を妨げたケースもあったようです。
 一番大きな誤解は、「屈筋主体の力感覚」しかない者にとって「力まず伸筋コントロールする」という表現が「押す動作」として認識されたことだと思います。
 「力を使っている感じがない」としてあっても「伸筋主体の力感覚」のない者にとっては、チンプンカンプンだったと思います。もちろん私もチンプンカンプンでした。(^o^)

 弛緩力のことを植芝先生の合気道では呼吸力と言いますが、それは何故かといいますと(私の勝手な推測ですが)、弛緩力という身体運動に呼吸を合わせて使うと威力・効果が倍増するのです。この時、弛緩力にはいわゆる力感が伴わない為に、まるで呼吸だけで投げ飛ばしたかのような錯覚が生じ易いのです。ですから呼吸力と名付けられたのではと勝手に推察しております。ですから弛緩力は力んだら駄目です。力んだら不思議なほど、とたんに使えなくなります。
 何度も言いますが弛緩力という身体能力を発揮する際に一番大事なことは、力まないということです。そして人間の体の中で一番力みやすいのが腕なのです。特に体幹部との接点である肩が力み固くなります。

 現在、錬体会の講習会には全国からいろいろな方がお見えになります。もちろん立派な体格と力をお持ちの方も多く、足腰も相当鍛えておられます。そして掴む際にはその足腰の力を腕にグッと乗せてきます。その圧力は相当ですので、ビックリさせられます。ところが必要以上に肩を力んでしまう為、鍛えた足腰の力が肩で大分ストップしてしまうのです。
 ですから私が弛緩力という(腕力とは質の違う)相手とぶつかりにくい身体動作をよりぶつかりにくく使うことにより、スルスルと動かされてしまうのです。

 弛緩力はまず屈筋を弛緩させないと使えない為、理解されやすいように弛緩力と名付けられたのですが、最後に力(ちから)と付いてしまう為に(人間動作しか出来ない方には)誤解されてしまうようです。
 本意は「力まない伸筋制御運動」ということです。そして弛緩力が発揮されるのは、その結果であり目的ではないということです。

 武田惣角先生から始まる大東流や合気道などの合気武道の最大特徴は、手を開く(手指を伸ばす)ところにあります。人間は日常生活において、大きく手を開くなどということはまずありません。このことからも武田先生が、そのするどい直感により人間動作・生活動作とは違う腕の伸張力に気がついていたものと思われます。(私は武道史には詳しくありませんので、ひょっとしたら武田先生以前に手を開くことを特徴としていた流派があるかもしれません。)
 ですから合気錬体会では、上達法として「上げ手鍛錬法(合気上げ)」により小手(腕)弛緩力をまず習得させるように講習会を開いています。
 小手(腕)弛緩力を理解し習得すれば、次にそれを全身に及ぼすように訓練し統一体を作り上げます。これを「体を一本にする」というのです。逆に空手や中国武術などでは足腰を鍛錬し造り上げ、その勁力を腕に伝えようと訓練するようです。ただ前記したように腕は力みやすくできており、力むと力んだところで勁力がストップしてしまう為、かなり難しいようです。これらは一見、腕から入るか足腰から入るかで別のように見えますが、統一体が出来てしまえば同じです。
 

「弛緩力三大ポイント」
1.力まないこと
 力めば使えません。
2.固くならないこと
 特に肩、肘、手首の関節部分。
3.踏ん張らないこと
 足腰がいくら強くても踏ん張れば、腕弛緩力に活かされません。

 ここで誤解を生じないように解説いたしますが、弛緩力と(真の)合気は別物です。
 初歩の段階では「合気充満の腕」などというように合気=弛緩力をさす場合もありますが、それはまだ合気というものが未分化の為です。また次の段階における「合気をかける」という場合においては、伸筋制御運動の作用(弛緩力)により相手を崩した状態を言います。
 真の合気というのは「伸筋制御運動により気を合わせる体の技術」のことをいうのであり、いわゆる全ての力(ちから)と名のつくものとは別物です。そして、これ以上の詳細を私は書く立場にはありません。
 が、ヒントを少しだけ。(^-^)
 伸筋制御運動により人の体を崩してしまう理があるのです。ですから体がちょっと動けば相手は力が入らなくなってしまうのです。
 もちろん私はまだまだ未熟で発展途上中ですから、えらそうなことは言えませんが、そういう原理を使っている為に自分より大きな体格と力の持ち主を相手に講習会を何とかこなしています。
 「合気をやるのに少し位は力がいるのではないですか?」とよく質問を受けるのですが、実は発想が逆ですね。本当に力はいらないのです。現在、合気之錬体レベルが最低レベルから一つ上がったことにより私は本当に自分の未熟さを身をもって痛感しているのですが、究極の合気は、力がいるどころか、力があると逆に邪魔なんですね。
 少しでも力があると合気の邪魔になる、だから力はいらない。でも今はまだまだ未熟。ですからいつかこの究極の合気を少しでも体現できればと考えています。

○弛緩力習得法
 「合気の習得の為にはどうすればよいですか?」ともよく聞かれますが、この場合は武術や護身術に使える力をまず身につけなさいとアドバイスしています。これは重いものを持ち上げるとかいうような単なる腕力のことではなく、もちろん弛緩力(勁力・呼吸力)のことです。
 弛緩力にもレベルがありますが、初級の腕弛緩力を身につけただけでも押したり引いたりのタイミングをつかい、技を掛けることが容易になります。

 弛緩力というと何か新しい力かと思われるかもしれませんが、実は昔から言われていることを「弛緩力」という言葉として表現しているだけです。
 昔からの合気系の口伝に「指先に集中して掌を開け」「腕を刀に見立てて使え」とか聞いたことがありませんか?それとも今は教えないのでしょうか?
 ぜひこの口伝を素直にやってみてください。どうです?素直にやろうとすると指先が伸びて肘から先の前腕が張る感じになりませんか?
 この状態が初歩の伸張力です。でも大事なポイントが抜けています。気がつかれましたか?
 そうです。力むな!ということです。
 どうすればいいのか?では今度は逆に積極的に力を入れて握り拳を作ってみてください。そしてよーく筋肉を観察してみてください。自分のどこの筋肉に一番力が入り緊張しているのか、そして次にその一番緊張している筋肉を弛緩させるようにして握り拳を緩めます。これを何回かくり返してその感覚を覚えます。
 覚えましたか?そうしましたら次に指先を張って、さっきの初歩の伸張力状態を作ります。そして覚えた弛緩させる感覚を再現してみて下さい。
 どうでしょう。指が素直にさらに伸びた感じがしていますか?力を入れるのに慣れた人にはちょっと頼りない感じがするかもしれません。
 でもこれが初歩の弛緩力状態です。でもまだ活きていません。本物になるには指先が活きてこなければなりません。活きた指先を作り出すには上げ手鍛錬法と合気錬体METHODが必須なのです。

続く


膝合気@
 両手で両膝を押さえに来た相手を合気で崩したところです。








膝合気A









膝合気B
 右膝を両手で押さえにきたのを弾き返します。










肩合気投げ@
 相手は左手で私の右肩を取りにきます。








肩合気投げA









肩合気投げB









肩合気投げC
 相手が左手で私の右肩を取りにきた瞬間に
 合気で力と重さを無効化し、かつ浮かせます。
 そして手を使わずに右肩の小さな動きだけで
 相手が必ず倒れる方向へ弾き飛ばします。
 これらを一瞬に行なわなければならない為、
 かなり高度な合気技法といえます。













合気二人掛け@









合気二人掛けA











首合気投げ@
 両手で首絞めにきたところを合気で
 相手の力と重さを無効化して崩します。







首合気投げA
 首を振って投げます。
 首にぶら下がった形になる相手を投げるのですから、
 無力化だけでは難しいです。
 また思いっきり首絞めにきていますから、合気がなければ
 手もはずれません。




首合気投げB
 この首合気は、ごく最近の平成17年11月3日に合気の新しい定理が
 パッと閃いてできるようになったばかりです。
 だからまだ動きが大きい上にヘタクソです。
 しかしこんなことができるとは、自分でも不思議な感じです。
 小さい閃きというか気づきは常にあるのですが、これはとても
 大きな閃きの一つで、合気が大きく発展することができました。
 


首合気投げC
 体之合気により相手の力と重さを無効化します。
 力と重さの無効化とは、無力化はもちろんですが
 相手の重さが軽くなることです。
 この合気技は、しかも私の外見上の動きとは関係なく
 相手が浮き上がってこなければ可能になりません。
 そのため、内部感覚(内部弛緩力の働き)が複雑に働きます。
 かなり難しいです。
 これは合気之錬体レベルが今よりも数段と上がらないと
 本当にはできないのですが、つい嬉しくて未熟な技を
 披露してしまいました。
 万有引力の法則を無視しているようにも見えますが、
 そんなことはありません。
 合気には、一見不思議には見えても必ず「理」があります。





胸合気@









胸合気A









胸合気B









胸合気C
 胸合気からの投げ










腕合気投げ@
 右腕に両手で掴みにきます。








腕合気投げA
 右腕を軽く捻るようにして投げます。










肘合気下げ@
 相手は私の両肘を下から支えるようにして
 ガッチリと持ちにきます。







肘合気下げA
 そのまま両肘を落とし相手を下へ崩します。










胸両手取り合気三人捕り@
 一人が諸手で胸を掴み、他の二人が同じく諸手で
 両手を力いっぱいに掴みます。







胸両手取り合気三人捕りA
 合気上げで三人を浮かします。
 手前の相手の踵が綺麗に浮いているのが分かります。







胸両手取り合気三人捕りB
 一歩出て、倒します。
 









両手取り合気四人捕り@
 両手に二人ずつ諸手で掴みかかります。








両手取り合気四人捕りA
 重ねるようにして下へつぶします。








両手取り合気四人捕りB
 同様に両手に二人ずつ諸手で掴みかかってきたのを
 合気で浮かします。







両手取り合気四人捕りC
 必ず倒れる方へ少し振って倒します。
 









後両手取り合気崩し@
 後から力いっぱいに両手取りにきます。








後両手取り合気崩しA
 合気を掛けて崩します。
 相手は崩れると同時に吸い付いてきます。







後両手取り合気崩しB
 両手を後方に振って倒しますが、
 合気が掛かったままだと投げる場合を除いて、
 相手は倒されても掴んだ両手を離しません。








両肘極め合気返し@
 両肘を七里引きに極めにきます。








両肘極め合気返しA
 相手後方へ力を返して倒します。










つかみ手の合気@
 こちらから両手をつかみ手に行ったのを力で頑張られます。
 つかみ手も免疫のある人には、頑張られると
 さっぱり掛かりません。
 力で行ったので相手の頑張りに、はね返されて
 私の両肩が上がってしまいました。




つかみ手の合気A
 そこで合気をかけて崩します。
 これはまったく痛みがないのに合気で崩されているのです。









片手合気投げ@









片手合気投げA











腰合気投げ@









腰合気投げA









腰合気投げB











腰合気返し@









腰合気返しA









腰合気返しB









腰合気返しC











両袖取り合気投げ@
 一見簡単に見えますが、力の伝わりにくい袖を掴んでいますので
 力ずくで振り回してもなかなか崩れるところまではいきません。
 「(自分は)小さく動いて(相手を)大きく動かす」という技術が必要です。






両袖取り合気投げA
 








両袖取り合気投げB











合気三人捕り@









合気三人捕りA











寝捕り合気上げ@
 寝た状態で右手を差し出し
 「捕れ、押さえてみろ」と誘います。















寝捕り合気上げA
 相手が諸手で掴み押さえつけにきたところを
 崩しの合気で2段階に崩し無力化します。















寝捕り合気上げB
 更に3段階、4段階と細かく崩し
 最後は頭上に放り投げます。

















胴上げからの空中合気@
















胴上げからの空中合気A


















2人引き立てからの空中合気@

















2人引き立てからの空中合気A

















2人引き立てからの空中合気B



















4人掛け合気重ね捕り


















片手取り合気落し@









片手取り合気落しA









片手取り合気落しB











弛緩力の集中
 もう1年以上も前(平成17年4月頃)に面白がってやっていたこと
 なのですが、人差指の先端一点に弛緩力を集中させ突きます。
 対象は運搬用厚み9mmの硬質ダンボールです。
 人差指を軽く伸ばしポンポンと連続して突いて人差指の形に
 穴が開けばOKです。
 簡単そうですが、1年前の合気教室で会員に6mmダンボール
 に挑戦してもらいましたが表面を傷つけても穴が開くまでには
 至りませんでした。
 空手のように鍛えて使うのではなく、普通の人の指で弛緩力
 (力まない伸張力)を上手に集中させて使うのです。
 当時は面白がって色々なものを突いては試していましたので、
 家族からヒンシュクを買いました。皆さんも気をつけましょう。(^ー^)
 上手になるとかなり硬い物にも穴が開きますよ。
 本来は敵の目や咽喉を狙う技です。





小手之合気@
 相手は私の右手を力一杯に掴み、更に踏ん張って
 頑張ります。







小手之合気A
 私は抵抗を捨て右手に弛緩力を現します。
 そして押しもせず引きもせずまた捻ることもせず、
 ただ素直に軽く押し下げます。
 基本であり極意に通じる技です。
 単純であるがゆえに誤魔化しができません。




指之合気@
 相手は指を取り逆をとろうとします。








指之合気A
 抵抗せず軽く指を振って倒します。
 もしこの時、抵抗して力を入れれば指を折られてしまいます。







指之合気B









二ヶ条逆@
 相手が右手を取りに来たところ、廻して二ヶ条逆に決めようとすると
 相手は力を入れ更に左肘を上に上げて頑張ります。







二ヶ条逆A
 右手に弛緩力を現して下方へ落とし、更に前方へ押さえ込みます。
 この時、逆関節を決めているわけではないので相手には痛みはありません。
 痛みで倒しているわけではないのです。
 そして不思議なことに相手は私の右手が触れているだけのはずれそうな状態に
 なっていてもその左手を離しません。
 というか離すことができないのです。
 



肘之合気@
 相手は左手で私の右肘を持って下から力一杯に頑張ります。








肘之合気A
 私は抵抗を捨て右手に弛緩力を現します。
 そして押しもせず引きもせずまた捻ることもせず、
 ただ素直に右手で相手の左腕を軽く撫でるようにして下げます。
 小手先の技を使わないことがポイントです。





指合気捕り@
 相手が左手で私の右手人差指を取りにきます。








指合気捕りA
 右手人差指に弛緩力を現し、軽く右腕を振って
 相手を吊り上げます。
 相手は踵が上がって完全に浮いてしまいます。













指合気捕りB
 あとは抵抗を失った相手を右肩に担ぎます。








座捕り指合気投げ@
 相手が左手で私の右手人差指を取りにきます。








座捕り指合気投げA
 逆らわず右手人差指を振って投げます。















引きの合気@
 相手は右手で襟、左手で袖を持ち腰を落として
 自護体になって抵抗します。







引きの合気A
 私は軽く撫でるようにして引きます。















小手之合気@
 相手は私の右手を力一杯に掴み、更に踏ん張って
 頑張ります。







小手之合気A
 私は抵抗を捨て右手に弛緩力を現します。
 そして押しもせず引きもせずまた捻ることもせず、
 ただ素直に軽く前下方へ押し下げます。






小手之合気B
 相手の首へ右手を振って倒します。








脚弛緩力@
 相手は前蹴りで攻めてきます。








脚弛緩力A
 半歩、引いて前蹴りを腕弛緩力で捌きます。








脚弛緩力A
 さらに右脚に弛緩力を現して、着地しようとする
 相手の右足を払います。
 













脚弛緩力C
 脚弛緩力も腕の弛緩力と同様に、単なる力とは動きの質が違うので
 相手は非常に抵抗しづらいのです。
 もともと大東流には足技は少ないのですが、脚弛緩力を使うと非常に
 面白い多様な技を展開することができます。
 私は脚弛緩力に新しい可能性を感じ取りました。



 平成18年8月13日 更新


自護体への合気@
 相手は柔道のようにガッチリ掴み、自護体で頑張ります。








自護体への合気A
 私は軽く触れて合気で崩し、突き飛ばします。








自護体への合気B
 単なる腕力でやると相手の手は外れず倒れもしません。








打撃無効化の合気@
 相手は勢いをつけ思いっきり右突きをしてきます。








打撃無効化の合気A
 私は腹で相手の突きの威力を取って返します。















打撃無効化の合気B
 相手は瞬間に自分の突きの威力で跳ね返ります。















打撃無効化の合気C
 この合気はやり方が色々あり、私でも八通り位は使えます。







 平成18年10月17日 更新


打撃を捌いての合気投げ@









打撃を捌いての合気投げA









打撃を捌いての合気投げB









合気の制位@
 相手はいつでも迎撃できるよう十分に身構えるのに対して
 私は無構え自然体にて静かに近づいていきます。







合気の制位A
 「空間之合気」にて相手の制空圏を奪ったうえで
 スッと右手を差し出し相手の拳に触れ無力化します。







合気の制位B
 軽く相手の拳に触れているだけなのですが、
 相手は無力化されている為に完全に腰砕けに
 なってしまっています。

 傍で見ていたKさんのコメント
 「何がなんだか、さっぱり分からない。
 Tさんはどうして突かなかったのでしょう?」

 受けをとったTさんのコメント
 「いつでも突けるように構えていて、あの距離からなら
 見逃すはずは無いのに、いつのまにか触られ抵抗できずに
 倒されたときには笑うしかなかったです。」




合気の制位C

佐川先生口伝 1967.6.26
 「敵の態勢、構えに応じてサッとある動きをし(態勢をとり)敵に力を出させずに勝つ。
 これは師伝にもなかったことであるが、もっとも考究しなければならないことであると
 思う。私は合気の制位と名付けている。
 先ず向かい合った時が最も重要であるので、ここを研究しなければならない。」




 平成18年12月22日 更新
 以下、続く。